2019年、RUN伴初開催の銚子。はじめてRUN伴を実現させた実行委員のみなさん(はじめてとは思えませんでした)と、RUN伴やふだんの仕事についての気持ちを共有する、ワークショップを行いました。
7人の実行委員とともに、「RUN伴を通じて、大事にしたいこと」を聞きました。

だんだんと話題は「銚子のまち」へ。

銚子の底力

ゴールイベントが終わった直後に集まってくれた実行委員たち。『井上製菓』のカリカリシューをお供にワークショップを開催しました。さあ、元気をチャージしてやってみよう!

写真/皮はカリカリ、中のカスタードもほどよい甘さ……これは、みんなご機嫌になっちゃいます!

——「子どもの頃、楽しかったことはなんですか? 絵に描いてみてください」という、いきなりの問いかけ。実行委員それぞれのこたえは――。

「バスケットボールの練習」
「おはじきをして遊んだこと」
「野球や実家のお寺の周辺で遊んだこと」
「折り紙やお人形遊び」
「体を動かすこと」
「小学校の行き帰りが楽しかった」
「ゴム跳び」
など、力作がそろいました。

生まれも育ちも銚子、という実行委員は約半分。
意外にも「海で遊んだ」というエピソードはなく、日常のなかの家の周りの遊びが心に残っている印象です。
「子どもの頃から海に見慣れているので、特別なものではないのかもしれない」との言葉も。

——「銚子の好きなところは?」という質問には

「海」
「潮風のかおり」
「屏風ヶ浦」

「魚」
「キャベツ」
「大根」

「みなとまつり」
「太鼓・祭り 伝統文化の継承」

三方が海に囲まれている土地柄、気候が穏やかで、なんと東京都心と温度を比べるとプラスマイナス5℃! そんな恵まれた環境で、食べ物も美味しくなるわけだ。

「漁師町である銚子人の気質、だと思います。銚子の川口というエリアは、漁師たちの間では、日本の海の三大難所といわれ、過去幾度も海難事故が起こった場所。『銚子の川口てんでんしのぎ』というのはことわざで、この辺りを船で通る時は他の船のことを構わずに、自分の操船だけを心がけよと戒められていたんです」とは、実行委員長の宮内さん。

めいめい(てんでん)が自分のことをする(しのぐ)。
これは決して冷たい心ではなく、銚子の漁師たちがいかに厳しい環境のなかで、生活をしてきたかがわかる言葉です。この言葉からは、銚子のひとたちの力強さが浮き上がってきます。

どんな銚子にしていきたい?

——「医療福祉の仕事、何を大事にしていますか?」という質問に、RUN伴にボランティアで参加した看護学生の波多野祥吾さんが口を開きました。

「地域に貢献したいという気持ちがあったので、卒論のテーマに選びました。RUN伴のボランティアには、そんな僕の思いを知っている教授に教えてもらって参加しました。何もわからない僕が参加しても、足手まといになってしまうかもしれないけれど、この先で活かせることがあるかもしれないと思って。
僕は看護学生なので病院へ実習に行きますが、ほかの学生が関わりたがらなかった怒りっぽい患者さんに積極的に声をかけました。その時は怒られて辛いかもしれないけど、その後に別の患者さんに接した時に、その経験が活きたからです」

「大切なことに気づいていて、素晴らしい!」と一同感心。
特に感動していた実行委員の江見さん、
「相手の心・気持ち、いつも何を思っているのかなあ? と考えています。関わる人は、利用者さんだけではなくて、そのご家族やスタッフ、地域のひともいる。それぞれの考えがあるはずなので、いつもそれを意識して接するようにしています」

「地域貢献で地域をよくする」とふせんに書いた峯岸さん。

「今度の台風(2019年の台風19号、銚子も大きな被害を受けた)で、自分の家の状態を確認できないなかで、目の前の仕事に一生懸命に取り組んでいる介護現場(在宅・施設関係など)のスタッフがたくさんいました。我々も、活動を通して実際にたくさん助けてもらった。
いざというとき、ふだんから地域をよくすることで、お互いに助け合える関係をつくっておいたほうがいいと思うんです。
たとえ、そのとき大変だったとしても、地域のことや困っている相手のことを自分ごととして動くことを忘れないようにしています。さっきの『てんでんしのぎ』の意味も、自分ごとにしちゃえば相手を守ることができるから」

RUN伴Storiseメンバーである、イラストレーター五味ちゃんが、ぽつり。
「たしかに、まちづくりって地域のセーフティづくりでもあるよなあ」

「ふだんはシャッターが閉まっているところが多い商店街を通ったとき、お店のひとたちが出てきて手を振ってくれてたじゃないですか。CDショップのおじいちゃんなんか、ご高齢だけどしゃんとしていて。商店街の歴史を感じました」

実は実行委員のみなさん、商店街のお店一軒一軒にRUN伴の企画意図を説明し、応援のお願いにまわっていました。そのおかげで、商店街のひとたちはRUN伴が通過する時間に合わせてシャッターを開け、それぞれに手を振ったり、声をかけたりしてくれたのでした。
RUN伴をきっかけに、まちのひとたちとの絆が強くなったという峯岸さん。
災害をともに乗り越え、支え合うためにもふだんからの交流が大切なんですね。

最後は、みんなで「大漁だ〜え〜!」と銚子大漁節のポーズで記念撮影! 

銚子のまち・ひと、食を体感させてもらったRUN伴Stories。
「福祉」というくくりにこだわらず、大きな枠でまちを見る。それによって、それぞれの輝きが見えてくる。被災という傷があっても、外から来るひとをもてなすことを忘れない。ひとは助け合えることを知っているから、ではないでしょうか。銚子という大きな器に抱かれて、わたしたちは安心して身を任せることができました。
それにしても……口に入れるものすべてが美味しかった。また来たいぞ銚子!

お世話になった銚子のみなさん、ありがとうございました!

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