認知症の人や家族、医療福祉のプロと地域の人たちが一緒になってタスキをつなぎ、日本全国を縦断する「RUN伴」。
イラストレーター、カメラマン、編集者、デザイナー、ディレクターなどのクリエイターがRUN伴を体感し、その気づきや楽しさを発信していくのが「RUN伴Stories」です。
2年目となったStories一行は、大阪は泉佐野市で開催された「RUN伴泉佐野」に参加。今年も思いっきり地域の魅力を満喫するぞ。おー!

いきなり胃袋をつかまれる

一行が向かったのは、南海本線・泉佐野駅から北側に位置する「つばさ通り」。ぶらりお散歩していると、美味しそうな香りが……。『てんぷら・かまぼこチウチ商店』さんへ吸い込まれた。ここで言うてんぷらとは、魚のすり身を揚げたさつま揚げ。創業70年! 目の前で揚がるてんぷらの種類の多さに驚かされる。
「紅生姜てんぷら!」
「僕は、野菜てんぷら!」
「シンプルに、てんぷらください」
と思い思いにオーダーするStoriesメンバーたち。揚げたてを袋に入れて、渡してくれた。早速その場で一口。
「こりゃ、たまらんー!」
てんぷらの揚げたてのコンディションの妙に感じ入る。取材最終日に再訪し、みんなでお土産を買ったのは、ここだけの話。

「つばさ通り」をさらに奥へ進み、あらわれたのが『がっちょの唐揚げ』です。 「がっちょ」と呼ばれるメゴチが、骨までパリッパリに揚げてあるんです。秘伝の味付けが癖になる〜! ビールくださいっ。
日持ちがするので、帰りの関空でビールのアテにさせていただきました◎

今回の取材の拠点となる『泉佐野たんぽぽの会』へ。お昼どきだったようで、わたしたちもちゃっかりランチ、ご一緒させていただきました。泉佐野の特産といえば、水なす。郷土料理である、水なすの古漬けを食べやすいジュレにした「ジュレじゃこごうこ」をほかほかごはんにかけて、ぱくり。
古漬けと聞くが味は濃くなく、お出汁が効いて優しい味。ごはんすすむ〜! って、さっきあれだけ食べたのに……。お腹パンパンです。だけど、まだ食べたい。
一同、すっかり泉佐野の食の虜になりました。

斜め上いくコラボの数! まずは、タオル×筆

泉佐野は「泉州タオル」と呼ばれるタオルが特産。「タオル筆」を生んだ宮脇泰彦先生が、お話を聞かせてくれました。
割り箸と輪ゴムを使って、オリジナルのタオル筆を誰でも作って、文字や絵を描くことができるんだとか。絵手紙やお菓子のパッケージ、市役所に飾られている大きな絵まで、なんでも描いてしまう達人です。各地でタオル筆教室を開催し、飛び回っている。

老舗お菓子屋×玉ねぎ×タオル筆

地元で愛されるお菓子屋『むか新』さんで出合った「たまねぎサブレ」。泉佐野で名産の甘いたまねぎを、栄養素をそのままにフリーズドライにしてサブレに変身しました。プレミアムたまねぎを生産する『長左衛門射手矢農園』とのコラボレーション。開封してみると、たまねぎの香り! 甘みが強過ぎず、おつまみとしてもいけそう。6代目の向井新将社長によると、胡椒もチーズも加えずに、素材の味だけで作ったサブレだとか。たしかに、風味が抜群。素材の力に脱帽です。地産地消にこだわったお菓子作りを続けています。
さらにこちらのパッケージは、タオル筆の宮脇先生の作。もう、コラボレーションが止まらない!

タオル×たまねぎ(地元名産野菜)

『袋谷タオル』さんで見つけたのは、泉佐野で採れる新鮮野菜の色彩をそのままに染めた「雫タオル」。タオルと野菜のコラボです。
驚いたのは、商品にQRコードがついていて、それぞれの野菜を生産した農家さんの情報を紹介しているところ。
自分のところだけがよければいいではなく、「みんなで一緒に盛り上がっていこう」という気持ちが伝わってきて、わたしたちも見習わねば! と襟を正しました。

ご近所のちから!

泉佐野のRUN伴は、大きな通りよりも住宅街のなかをゆっくりゆっくり進んでいく印象。みんなでワイワイ歩いていると、家のなかからRUN伴の旗を持ったひとたちが応援のために、出てきている! なんでも、チラシや手作りの旗を事前に配ってRUN伴の趣旨を説明してまわったのだとか。
近所のひとたちとの素敵な関係性も、しかと拝見させてもらいました。

ひとえだ食堂のご縁

泉佐野取材の1週間前、インタビューにご協力いただく予定だった山本一枝さんが、亡くなりました。
『泉佐野たんぽぽの会』でそのまま残されていた一枝さんのお部屋を、RUN伴Storiesの拠点として使わせてもらいました。お昼ごはんを食べたり、インタビューをしたりワークショップをしたり。
「初めて来たとは思えない」
「おばあちゃんの家に来たみたい」
とメンバーは思い思いに、ここでくつろがせてもらいました。
調理師であった一枝さんは、ここで「ひとえだ食堂」を一日限りで開店していました。
「儲けはいなん、喜んでもらえたらええ」
このお部屋で過ごした笑顔の時間を通じて、お会いすることの叶わなかった一枝さんのことばが聞こえたようでした。泉佐野との出会いは、山本一枝さんがつないでくれたものだねと、実行委員のみなさんと話していました。
ありがとう、一枝さん。ご冥福をお祈りいたします。

RUN伴Storiesメンバーは、今回も取材を通じて泉佐野のまちとひとが大好きになりました。
取材にご協力いただいたみなさん、どうもありがとうございました!

取材メンバー(右から)

写真 末吉理紗子
イラストレーション 五味健悟
デザイン 野中健一
編集・執筆 山本梓
プロデュース・ディレクション 中浜崇之(NPO法人Ubdobe)

取材日:2019年10月26日〜28日
Special thanks!!! RUN伴泉佐野 実行委員会の皆様、「泉佐野たんぽぽの会」の皆様、大阪府泉佐野市の方々

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