それまで認知症の人と接点があまりなかった地域の人たちと、認知症の人や家族、医療福祉関係者が一緒になってタスキをつなぎ、日本全国を縦断する「RUN伴」。
写真家、イラストレーター、編集者、デザイナー、ディレクターなどのクリエイターが、各地で開催されるRUN伴を直に体感し、その気づきや楽しさを表現するのが「RUN伴Stories」です。

今回は、福井県勝山市で行われた「RUN伴勝山」に参加。
各地で特色あるRUN伴スタイルの発見や、地域の魅力を思う存分楽しんできました!

はしゃぐ!

本番前日に勝山入りした我々は、「RUN伴福井」の実行委員長である木下真吾さんに連れられて、走行ルートを下見。
勝山の人気スポット「ホワイトザウルス」は、全長が16.9mもあって、いろんな角度から写真を撮るメンバーたち(このすぐ横もRUN伴の走行ルートのひとつ)。
「勝山は、恐竜推しがすごいっすね!」
と、案内してもらった先々で、はしゃいでまいりました。

飲まないと仲良くなれない

一日下見で案内していただいたうえに、「一緒に飲んでください!」というムチャブリに応えてもらい(何度も言いますが、明日がRUN伴本番!)、RUN伴福井の実行委員のみなさんと『福の依』さんにて乾杯。
「で、君たちは何者なの?」と言われ、やっとここで自己紹介をするメンバーたち。
「医療とか福祉というものをもっと身近なものにしたい。だって、今のうちにそれをやっておかないと、絶対に自分に返ってくることだから。自分が年をとったときに『認知症になっても大丈夫と言える街になっていてほしい』」
と、酔ったディレクター・ナカハマ。たまにはいいことも言う。

ここで勢いにのったナカハマ。忙しいなか飲み会に参加してくださった増永晴美さん(「ねえやん」と図々しく呼ばせていただいてました)のご自宅で、なんと福井名物の「とんちゃん焼き」というソウルフードをごちそうになる約束をこぎつけていた……。
ていうか、とんちゃんって何!?

子どもは、じいちゃんばあちゃんが大好き

RUN伴勝山は、子どもたちも主役だ。勝山北部中学校で開会式をして、ブラスバンド部の演奏が参加者を盛り上げる。
どこでも、じいちゃんばあちゃんのそばには子どもたちの姿があった。
「福井県は共働きの家庭が多く、小さい頃から祖父母に育てられている子が多いんです。だから、じいちゃんばあちゃんっ子が多い」
と、教えてもらったのが記憶に残っている。

おまちかねの!

ゴール地点の「勝山市福祉健康センター」には、すでにたくさんの人が集まっていた。
家族会※のおかあさんたちが、豚汁を器によそっている。
「初めてやったから、ガスがうまくつかんでの。煮えるまでヒヤヒヤしたわ」
と、謙遜するおかあさんたちをよそに、70人前の豚汁は次々に器に盛られていく。豚肉、おあげ、こんにゃく、じゃがいも、里芋、ネギがふんだんに入っている。野菜は福井産。
おにぎりも、もちろん福井米で。お米を炊くところから、サケとカツオで全90個! わたしも手を伸ばしていただいた。豚汁もおにぎりもめちゃくちゃ美味かった。

※家族会=入院患者や、認知症の介護をしている方々の集まり。女性陣が多かったが、おとうさんたちもしっかり働いていました。

とんちゃん焼き

RUN伴の取材を終えた我々が、胸を踊らせ向かったのは〈ねえやん〉の家。そう、はじめましての飲み会で、「とんちゃん焼きを食べさせてもらう」という約束をしていたのだった。
車庫で炭を焚いて焼く、というのが定番のスタイルだそうで、ねえやんの弟・キヨシさんが「とんちゃん隊長」となって、我々をもてなしてくれた。
とんちゃんとは、味噌や醤油、ニンニク、唐辛子などで味付けした牛・豚のホルモンのこと。たっぷりの野菜と一緒に炒め、シメにご飯やうどんと合わせて食べる。勝山のお隣・大野市で盛んに食べられているソウルフードだそうだ。
キヨシさんがとんちゃんの煮え具合を厳しくチェック。合図を待たずに箸を伸ばそうものなら「まだあかん!」と制される。
おあずけを何度かくらい、ついに出てきたとんちゃん焼き。一口食べて、「おおおおおお!」。口のなかでとけてなくなるとんちゃん。しっかり味もついているけど、重すぎない。「ごはんがほしい〜!」というタイミングに合わせて、福井米の登場です。しかもキヨシさんが作った新米!
とんちゃん焼きのあとに、シメのうどんをいただいて。
そのあとに、「ぼっかけ」なる郷土料理も食べて。赤いかまぼこと三つ葉がのったほくほくの新米に出汁をかける。この出汁ももう……言葉が出ません。
お腹も心もいっぱいになった、とんちゃん焼きの夜。ねえやん、キヨシさん、トヨコさん、ツグミちゃん、ごちそうさまでした!

豊かってこういうことか

お土産に勝山のお酒「一本義」を一升瓶で買う者もあり(郵送しました)。
大野「七間朝市」で出合った「クラシックカーフェスタ」に食い入る者あり。
小林健一さんを撮影させていただいた「岩屋観音」へ、みんなで改めて御礼参りへ。
福井県勝山市・大野市を大満喫しました。取材にご協力いただきましたみなさん(一緒に遊んでくださったみなさんも!)、どうもありがとうございました!

取材メンバー(左から)

写真 田里弐裸衣(VAMOS)
プロデュース・ディレクション 中浜崇之(NPO法人Ubdobe)
編集・ライティング 山本梓
イラストレーション 五味健悟

Special thanks!!! RUN伴福井・RUN伴勝山・RUN伴大野 実行委員会の皆様、福井県勝山市・大野市の方々

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