「あわてなさんな」
熊本で最初に感じたこと。
ゆっくりと呼吸してみると、急いていた心がふっとゆるんだ。
ここに身を置いて、それまで得体の知れないものに自分がとりまかれていたことに気づいた。
「何をそんなに慌てていたんだろう?」と。
熊本のやさしさがたっぷり詰まった見聞録。お茶でも飲みながら、楽しんでいってください。

「向こう側にわたると?」

RUN伴Storiesメンバーは熊本へ。実行委員のみなさんにオススメしてもらった「水前寺成趣園」にクルマで向かう。
熊本市街地からクルマで約10分。ナビの案内をミスって、左折ポイントを間違えた。ほどいいところでUターンして、大通りに戻ろう……あ、歩行者のおじいちゃん。
どうぞ、お先に。え?
「向こう側にわたると?」
と、逆に道を譲られる。そして、「今なら行ける!」と誘導まで。
交通量が多くて大通りになかなか出られない、県外から来たと分かっていたのだろうか。そうでなくても、おじいさんはきっと道を譲っていたんじゃないか。
熊本人のやさしさに、いきなり包まれた旅のはじまり……。

水前寺成趣園は、大規模な日本庭園が広がる熊本市民の憩いの場。取材時は、園内の出水神社に七五三の参拝に来た子どもたちの姿が。おめでとう!

甘い出合い!?

一同は、熊本市街地へ。メインストリートであるアーケードをプラプラとしていると、なんと! RUN伴のチラシを発見。
蜂楽(ほうらく)饅頭」さんへ、吸い込まれた。ここは、黒あんと白あんの大判焼きで人気のお店。早速いただいてみると、素材を大事にしたシンプルでやさしい味だ。
「店内で食べますか?」という質問に、YESと答えた一同。老若男女が集う店内に腰かけると、お店のひとがお茶を持ってきてくれた。「このチラシを見て来ました」とこちらからアプローチ。
「ああ、あの子たちのね。大学生ががんばってるから、応援しなくちゃね」とお店のおじさん、笑顔で言った。
「熊本で美味しいランチといえば?」なんてちゃっかり質問。おじさん、わざわざ店の外まで出て教えてくれました。

……なんて読むの?

教えられてやってきたのは、「蜂楽饅頭」の斜め向かいの中華店「紅蘭亭」。なんでも、熊本人のソウルフード・太平燕の発祥の店なんだとか。ていうか、なんて読むの?
その名も「太平燕(タイピーエン)」。
野菜がたっぷり入った白濁のスープに、春雨ヌードルをすする! なんともヘルシー。しかも美味! しかも、中国では「太平燕ひとつ!」と頼んでも、聞き返されてしまうとか。なんと熊本発祥の中華料理なんだとか。謎が深まるたいぴーえん。あなたは一体何者なの……!?

マスコットも大活躍!

メンバー・五味ちゃんが鼻の下を伸ばしている。それは、今回のRUN伴の実行委員が全員現役の女子大生であるから……え? あら失礼。五味ちゃんはRUN伴告知の飾り付けのお手伝いをしていたんですね。
熊本市街地には大きなアーケードや商店街が多く、ここを毎日大勢のひとが通過するそう。五味ちゃんが手伝っているのは、下通りアーケードにあるおしゃれな靴屋さん。「ロバ隊長」(認知症になっても安心して暮らせる町づくりを意味する手づくりマスコット)をお店に装飾していました。

よくよく見ると、あちらこちらにロバ隊長が! 商店街のお店の協力体制もそうだけど、実行委員の子たちが頑張ったんだねえ、となんだか親目線のメンバーたち。
お店一軒一軒に協力をお願いしてまわった彼女たちに拍手!

食欲つづくよどこまでも

「ガタンゴト!」
「ガタンゴッ!」
……? 滞在したホテルの部屋から聞こえる怪しい音。しかも一瞬。一体何!? と、カーテンを開けるも正体不明。き、気になる……!
翌朝、取材へいざ出発! となったときに気がついた。そう。あなたは路面電車でしょう?
ホテルの目の前を通過する路面電車。電車のような音がするけど、バスのようなボディ。
熊本市民の足となっている、市電。我々も乗車し、もちろん夜の街へ〜◎

熊本へ来たら、食べなきゃいけないものが多い〜!
まず、ぜひに! と言われてやってきたのは「ヒライ」。熊本のソウルフード(またしても!)ちくわサラダをみんなでパクリ。もぐもぐ……。うん、ちくわだ。揚げてある。……ん? 中にポテサラが入ってる〜! けっこうボリューミーな姿をしているけれど、薄味でどんどんいけるな。ぺろりと一本たいらげた。

続きまして。
熊本名物を食べたい! とメンバー・ヤマモトが駄々をこね、たどり着いたは居酒屋「YOKOBACHI」。情緒ある店内で手ぐすね引いて待っていたのは、からしレンコン。からしたっぷりだけれど、思ったより辛くない。レンコンの食感も相まってこりゃあお酒が進んじゃう……。
米焼酎と一緒に、新鮮なお刺身を楽しませていただきました。

最後にやってきたのは、おとぎの世界……のような摩訶不思議なバー「PICNIC」。元ガソリンスタンドの2階に建つこちら、熊本のアーティストやミュージシャンが集うお店です。おしゃれな小物やPOPが並び、おやつと軽食、お酒が楽しめます。
RUN伴Storiesの説明をすると、店主・かおるさんはご自身のおばあちゃんとの生活の話をしてくれました。いい夜だなあ。

穏やかな気持ちになって、わたしたちもひとにやさしくなれたような気がする。大きく深呼吸をしたら、さあ次行きましょうか! と背中を押してもらった熊本の旅。
自由に見て、聞いて、感じて。再訪したらまた別の楽しみ方も見つけられるはず。
きっとまた来ます!
取材にご協力いただいたみなさん、どうもありがとうございました。

取材メンバー(左から)

イラストレーション 五味健悟
写真 末吉理紗子
編集・執筆 山本梓
プロデュース・ディレクション 中浜崇之(NPO法人Ubdobe)

取材日:2019年11月9日〜11日
Special thanks!!! RUN伴熊本 実行委員会の皆様、熊本市の方々

RUN伴Storiesトップに戻る