町田のひとたちのアツイ想いに圧倒されたRUN伴Storiesチーム。RUN伴実行委員や地元で認知症に関わっているみなさんと、想いを深掘りするためのワークショップを行いました。

RUN伴町田・実行委員長の土志田敏伸さん、実行委員の増田由稀さん、薬剤師を目指して勉強中の三好留菜さん、「まちの保健室」を主宰する松本礼子さん、「本人会議」皆勤賞の鈴木克彦さんに参加してもらい、「RUN伴を通じて、大事にしたいこと」について、お話を聞きました。

——「町田ってどんなところ? どんなイメージがありますか?」
という質問に……

「自然が多い」
「坂道が多い」
「薬局、医療関係の施設が多い」
「町田ゼルビア(Jリーグのサッカーチーム)」
などの言葉が出ました。

さらに聞いてみると、
「新しいものと古いものの混和」
「町田魂」
というキーワードも。

「ほどよく都会と田舎が混在している場所なので、新しいものが入ってくることに拒否反応を示すことが少ないのかもしれない」
「東京都ですが、よその人からそのイメージをもたれていないという、地元のひとはどこかで後ろめたい気持ちがある。だから、仲間と集まるとぐっと団結して『町田魂』に火がつきます」

「ここ東京都? 的なコンプレックスもあってか(笑)、まちを自分たちで動かそうとする人が多いように思います」
「若いひとが頑張れるのは、これまで土壌を耕してきてくれた先輩たちがいるから。先輩諸氏が引っ張ってくれるから、いまスムーズに若いひとが動ける」
「RUN伴のスタッフもそうだけど、年齢も肩書もほんとバラバラよね。世代が幅広いなと感じました」

年齢や肩書に関係なくまちに入ってこられるのは、「お祭り」はじめ地域行事が盛んだから、などという意見もあり、町田のネットワークが広い理由は、伝統にも起因する一面もあるのかもしれません。

話は変わって、
——「医療福祉の仕事、何を大事にしていますか?」

委員長の土志田さんが、語ります。
「僕は薬剤師をしています。あこがれ、目標にしている薬剤師がいるんです。高校生のときに『このひとになりたい!』と思って、勉強をはじめました。大西さんといって、いわゆる『地元の薬剤師のおばちゃん』なんですが、お客さんとの信頼関係が傍から見ても分かるんですよね。大西さんは、いつも誰かと話してるんです。みんな大西さんに会いたくて薬局に行くんですよ。
実は、現在全国的に薬局ってコンビニより数が多いんです。5万8000軒と5万3000軒。どこに行っても同じ薬が手に入るし、薬剤師が説明できなくても、説明書だってある。だからこそ僕も『としださん』って名前で呼んでもらえて、『このひとがいるから』という理由で薬局に来るような薬剤師になりたいですね」

鈴木さんは、当事者としてお話をしてくださいました。
「認知症って、そんなにつらいものじゃないですよ。痛いとかかゆいとかそういうことはないからね。私は私で、この通りに生きてきたわけだから、受け入れるしかない。それができれば難しい病気じゃないよ!」

「まちの保健室」を主宰する松本さんも続きます。
「このあいだも『本人会議』で、本人を抜きにして話を進めるな! 勝手に特養※に入れるな! ということで盛り上がっていましたよね」
※特別養護老人ホーム

そこに、RUN伴Storiesチームのカメラマン・ニライが口を挟みました。

「トクヨウって、なんで行きたくないの? そうだったとして……、なぜ、『そこに入りたい!』ってみんなが思える場所にしないの?」

この場にいたひとたちは、この純粋な質問に真剣に向き合いました。

増田さん
「特別養護老人ホームは、高齢者の方が安心して暮らせる場所なはず。ただ、施設で働く職員が自発的に外を見ようと思わない限り、自分の職場のルールやしきたりだけで支援の日常が進んでしまうことがあるんです。そうして日常の業務に追われ、ご本人の意思に向き合えなくなってしまうことも、残念ながら現状としてあります。
わたしがいつも思っているのは、『認知症の方を支援する周辺のひとたち自身が満たされていないと、誰のことも幸せにすることなんてできない』ということ。『認知症だからできない』という考え方も、支援者が満たされていたなら、変わっていくと思います。そんなところから考えて、取り組んでいきたいと思っています」

松本さん
「『本人会議』でもね、『自分の主治医は、本人である自分にものを言わない』って言う方がいてね。奥さんには、アルツハイマーだとか宣告するけど、本人には説明を全くしないから、自分がどういう症状なのか分からない! って。
参加してたみなさん『そうだよね!』って共感の嵐でした。そこから『認知症の、認知症のための、認知症による、認知症講座を開こう!』ってことになってね、お医者さんに来てもらったんです。
『僕は電気を消さないで、妻に怒られます』って言うひとがいれば、先生がなぜその症状が出るのかをひとつひとつの実例を聞いてから説明してくださって。みなさん理解して、納得ができたんですよね」

これには、鈴木さんも笑顔でうなずいていました。

そして、カメラマン・田里弐裸衣による、撮影講座!

「写真は、コミュニケーションの道具である」という名言が出たところで……。

なんと、この日はイラストレーター・五味健悟によるイラスト講座も!

猫のイラストの黒目を入れられないという三好さんの悩みに応えるかたちで、実際に目を描いてみる五味。
「好きな絵を真似るのが、おすすめ。あとはやったことのないタッチで描いてみたり。まあ……数描くしかないんですけどね!」

最後は、みんなで記念撮影!

風土、歴史、かけがえのない日常を、町田に暮らすひとたちを通して体感したRUN伴Stories。
「認知症」という名札を付けてひとを見るのではなく、そのひとの名前で声をかけられることは、実はお互いの安心にもなることに気がつきました。
「認知症カフェ」「Dサミット」など全国に先駆けて行う町田。このさまざまな取り組みがRUN伴のタスキとともに、広がっていきますように!

お世話になった町田のみなさん、ありがとうございました!

#machida #ws #report

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