RUN伴Stories、初の海外取材!
「パスポート忘れずにね」
「パスポート、いるんだっけ?」
「……」
一抹の不安を抱えながら海を越え、やってきた台湾で出会ったのは、Storiesメンバーがいつも受けとめることになるハートフルな笑顔、笑顔、笑顔たち……!
初開催となるワークショップ、ドキドキしながら会場に行ってみると、なんと史上最多人数の参加者が!
さてさて、どうなることやら……!? 台湾の福祉事情、とくと聞かせてもらいましょうっ。

通訳=陳湘媮 Ayu

言葉の壁? ……無問題!

台湾全土22地域(離島含む)で開催された2019年のRUN伴。それぞれの地域から9人の実行委員が集まってくれました。福祉に関係するみなさん。日本のRUN伴にもとても興味があるとのことで、わたしたちにも質問が投げかけられます。
有意義なディスカッションとなるように、わたしたちも負けじとクエスチョン!

――今回のRUN伴、どうでした?

それぞれの地域で行ったRUN伴について、いつもの「一言」ではじめました。

「感謝」「team(チーム)」「陪伴(寄り添い)」「笑顔」「感動」
という言葉が並ぶなか、
「緊張」とか「心配」という言葉も。

新北市を担当した周(シュウ)さんは、
「新北市は台湾で一番人口が多い街。おかげさまで参加人数も一番多く、嬉しい反面、交通量の多い通りをどのように進むのか、参加者が事故なく楽しんでもらうためにリスク管理を徹底しました。だけど、正直ドキドキものでした……」

「たしかに、参加者にとって安全なコースづくりになるように、気を配りましたね」
とは、事務局の許(キョ)さん。

「加えて(新北市は)ゴールイベントがあったので、全国22地域が一堂に集結するポイントでもありました。政治関係者や行政・自治体のトップも来賓として呼んでいて、連絡のミスがないように丁寧さを心がけました。だけどすごく心配でした〜!」

台中エリアを担当した林(リン)さんは、
「わたしの勤める法人は、認知症のご本人の『心のストーリー』を綴る活動をしています(まるでRUN伴Storiesみたい!)。台中で行われたRUN伴には、28人の当事者の方々が自ら参加を申し出てくださいました。なかには若年性認知症の方もいました。
RUN伴終了後、介護をしている娘さんが声をかけてくれました。『10年間ずっとケアをしてきましたが、一緒に出かけることができたのは久しぶりです』と。思い出のある台中公園でのイベントだったので、さらに家族の思い出が増えました、と言ってくださいました」

それで、林さんは「感動」と書いてくれたんですね。

――ご自身のしごとで、大切にしていることは?

現場に立っていなくても、福祉・介護の関わっている実行委員たち。この漠然とした質問に「???」となりながらも、真摯に答えを出してくれました。

写真・左上から、「やりがい」「改善」「共感」「共感する心」「成長&共感」
「落ち着き・笑顔」「未来・品質」「さらによく」「理念と価値」の答えが並びました。

「同理=共感」というキーワードがいくつか出るなか、陳(チン)さんは言います。
「年配の方に家族のように声をかけることを心がけています。今そうすることで、将来若い人が僕と同じような態度で年上の人に向き合えるといいなと思っているからです。自分の世代で変えていきたいですね」

これは、メンバーのハマーンもよく言っていることだ! 「今向き合っていることは、いずれは自分が年をとったときにふりかかってくる問題」と。
台湾のひとたちと想いが同じと分かって、嬉しいです。これぞ、同理か!

「未来・品質」と書いた頼(ライ)さんも続きます。
「長年、ケアのしごとに携わっています。わたしも老後の心配をしています。台湾の福祉制度は、一般人がどうこうできない問題です。生活のベースとなる『衣食住』が安定して全般的なサービスの品質向上が要(かなめ)になってくると思います。そのためには、制度を充実させることが大事」

許さんが書いたのは「理念と価値」。
「バックオフィスで働いて、3年になります。さまざまなひとがいる福祉の現場で必要になるのは、働き手の『正しい理念』だと思います。理念と価値が正しければ、バックグラウンドやお金の有無に関わらず、あらゆるひとの生活の基本が尊重されると思うんです」

わかります。だけど、それを共有するのって難しくありませんか?

「たしかにそうですね。だからこそRUN伴のような活動が重要になってくると思います。正しいことを楽しんでやっていることで、人に伝わって、次の人に……と伝播していくと感じました」

なるほど、そうですね! 福祉を語る肝心要の部分をおざなりにしない、この姿勢にわたしたちも襟を正しました。


写真/RUN伴のパレートを見た、通りすがりのひとの「同理」の合図。

「逆に質問、よろしいですか?」

手をあげてくれたのは、この道28年の大ベテランの林(リン)さん。

「今日の新北市でのRUN伴は、RUNではなく歩いていました。日本では本当に走っているのですか?」

――わたしたちが見てきたのは、地域によってそれぞれです。走っているところもあるし、ゆっくりゆっくり歩くところもあります。
そして、イベントの安全性を確保するためのルート作成も重要な役割をしめています。地元のことを知り尽くしている実行委員だからこそ分かるルートマップには、毎回驚かされるんです。

「日本のRUN伴に、政治(行政)はどんな役割を果たしていますか?」

――これもそれぞれです。市長が参加しているところもありますし、市役所の一部をイベント場所にしたりと協力的なところもあれば、民間だけで一貫して行うところもあります。
ただ、わたしたちは日本のイベントで大臣や知事のような人はまだ見たことがありません。台湾は国や県、市町村のリーダーが参加しているのが印象的でした。

……とお答えしました(合ってますか?)。

最後はみんなでミニピースで記念撮影! かわいいでしょ。

それぞれの地域性を存分に発揮しながら、台湾全土で開催されたRUN伴。みなさんの込めた想いも、きっと広がっていくはず。
そして、言葉の壁をもろともせずに普段どおりのワークショップが開催できたこと、通訳の陳湘媮(アユ)さんはじめ、参加してくれた実行委員のみなさんに感謝◎

台湾のみなさん、ありがとうございました。謝謝!

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