やっぱりね、市販のものは買ったら使い続けることが大事。

李 珍子さん

宝物:藁でできたマッサージ棒

李 珍子さん

南投県の草屯鎮の出身です。日本語の名前は「えみこ」と言います。81歳、元気です。日本語すこしわかります。「ありがとう」。
新北市に来たのは1971年、30代の頃。経理の事務職をしてました。50代で友人に仕事を譲って、ボランティアをはじめました。社会局(市役所の福祉課)がボランティアを募集していたのがきっかけ。
当時の台湾は路上生活者が多く、三重区では寒波がやってくると亡くなるひともいました。すこしでも温かいものをと、23時半に寺廟に行って炊き出しをしてたの。温かい食べ物と寝袋を配っていたんだけど、なかには現金が欲しいと寝袋を売ってしまって、また凍えて過ごすひともいました。だけど、そのひとにとって選択肢というのは多様だからね。理解をしながらも、人の命が大切ですから、数日後にまた会いに行ってできる限りの応援をしていました。
こういうサポートの他にも、自然災害支援や市役所のボランティアをしているの。図書館の受付のおしごともそうです。

時代の変化? そうねえ、女性はだいぶ楽になったと思います。昔の男性は家事も一切しなかったけれど、今は男性が子どもを抱っこしているシーンをよく見かけます。共働きの家庭も少なくないので、若い世代は男性が家事も分担しているみたい。……わたしの見てきたなかの話だけどね。
ボランティアは楽しいですよ。昔は百貨店で買い物したりしていた時間を、いまは友だちとボランティアしているでしょ。無駄遣いがないのよ。あそこの市立病院で、ボランティアをしている92歳のお友だちもいますよ。

あのね、サポートってすべてのひとに必要ってわけじゃないでしょ? 自分の目で見て、そのひとに必要な支援なのかを確認するようにしています。施されるひと? とんでもない、友だちです。わたしは困ったときに声をかけられる存在としているの。もし手が足りない場合は、仲間を呼べばいいんだもの。
ボランティアを30年やってきて、社会福祉のことを学ばせてもらっています。例えば、行政が高齢者のために発行しているICカード。チャージしながら使えて、バスや電車に半額や無料で乗れるカードなんだけど、なくしたら昔は手続きが大変だったの。1週間か、1か月かかることもあったのよ。だけど今は再発行がすごく簡単になった。すごく進歩しました。

そうだ、これ。やってみる? 痛くないでしょ、藁でできているから。これで全身をたたくの。血流がよくなって、だんだんと身体が温まります。もう10数年使っているかしら。「肩、手、腰、足」。そうそう。「頭」もね。
わたしの地元で作っているマッサージ棒なの。たまに天日干ししてね。家で使うことが多いけど、こうやっていつでもどこでもできますよ。やっぱりね、市販のものは買ったら使い続けることが大事。自分の健康は、自分で守らなくちゃね。
え、ほしいの? お土産にあげようか?

通訳=陳湘媮 Ayu

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