お料理も畑仕事もみんなこれでやっとった。しごとはどっさりあるからな、でも嫌っちゅうことはないな。

佐野トミ子さん

宝物:ほっかぶりのタオル

佐野トミ子さん

生まれは鹿児島です。海の近くの枕崎・美山町(みやまちょう)ちゅうとこ。手がこんなに大きいやろ。だからバレーボールをやっとったよ。アタック? もちろんたくさんしたよ。バーン! とな。
うちは百姓やったからね、田んぼも畑も全部自分らで耕した。馬も牛もおったよ。土をならすんは、馬や牛のしごとだけども、田植えは人間のしごと。料理も自分でしたよ。餅をついたりな。丸餅作ってみんなに配ったなあ。団子餅もよう作ったで。自分とこのあんこを炊いたんで餅を包んでな、作らんところの家に「作ったで食べんか?」って3つ4つ置いておいた。旬のものを入れていろんな団子を作りよった。手で作ったものやから美味しかったで。大鍋で作って「こんなん作った」って近所のひとらに食べさせよったわ。
作れるもんは全部自分で作りよった。着るものもや。近所の姉さんらから習ってな、流行りの生地を買うてきて、自分で縫うんや。作らんと作ってくれるひとおらんもん。当時はほとんど着物やったけど、おしゃれに着とったよ。
(スーパーの売り場を見て)にぎやかやなあ。子どももどっさりおるね。よかったなあ。いつもこんな感じや。わたしの周りには仲間が多いからなあ。遊ぼう遊ぼうって来るで。あ、あれ何やろ? 行ってみよか。(パンの売り場にて)パンは好き。よう食べる。あんたら、何か食べ。みんなで一本ずつ食べよ。アンホイップ? ええな。魚? いらん。コロッケ? 美味しいと思うで。あんたはどれ? これじゃ足らんわ。あと2つ買おう。
買い物は好き。体が重たくなるまで買うてくる。ほら、食べてええよ。おばあちゃんは今はいらん。あんたらが食べな。美味しいか? どっさりあるよ。そやな、みんなと食べて美味しいなあ言うのが好き。ひとに喜んでもらうの好きやな。
どうしてひとのためにできるかって? さあ、なんでやろかな? ひとのためと思ってせんからやろ。自分で「こんなことしたらひとのためになる」なんて思ってすることは自分のことや。わたしはそんなこと思わへんねん。なんでもやりさえすればええ。

今日はにぎやかやなあ……。ほっかぶり? 畑や山に行こうっちゅうんじゃないのに。被り方か? 手ぬぐいでもタオルでもそのへんにあるもんでええんや。途中をこうやって曲げてな、そうや。前にゆるみをつくって、後ろをくくる。ぎゅってくくり過ぎると前のゆるみができへんからな。もうちょっと前を下げて、そう。これで日よけにもなるしな。ちょっとくらい汗かいても平気や。ほっかぶり、ええやないか。お料理も畑仕事もみんなこれでやっとったんよ。しごとはどっさりあるからな、でも嫌っちゅうことはないな。今日はこれができるなあって考えて働きよった。自分が動くのが好きやからな。
えらい人が多いなあ。いつもより多いな。あ、これ何売ってる? うまそうなのあったら買うてみんなで食べよ。

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